遺産分割協議書

相続人が印鑑を押してくれない!

遺言がなければ相続人全員で遺産分割協議をして遺産分割協議書を作成して、遺産をそれぞれに分配します。この話し合いがスムーズにまとまらないことにより相続問題となります。
相続問題で一番多いのは、この「相続人が印鑑を押してくれない」ではないでしょうか。遺産分割協議で相続人に印鑑を押してもらえないとなると、不動産の登記名義の変更や被相続人名義の預貯金の払い戻しができなくなります。ただ、同じ「押してくれない」でもいろいろな事情、理由があるのではないでしょうか。

押してくれない主な理由としては、
(1) 主たる相続人が遺産を独り占めしようとしている。
(2) 押したくないと言っている相続人が、他の相続人に対して不平等感を持っている。
(3) 押したくないと言っている相続人が、他の(主たる)相続人に対して恨みを持っている。
(4) 押さないと言っている相続人がそもそもわがまま、自己中心的である。
などが考えられます。それぞれの理由について解決策を検討してみましょう。

(1) そもそも独り占めは良くありません。相続人全員が納得しているならともかく、納得していないのに無理やり印鑑を押せでは誰も納得しないでしょう。戦前までの家督相続では長男などが単独相続していたようですが、戦後からは共同相続が原則となっていることを先ずは理解する必要があります。
ただし、例えば相続人が年老いた妻と子で、遺産が住んでいる不動産と僅かな預金という状況であれば、これを平等に分けるのでは年老いた妻がかわいそうな気がします。「次はどうせあなたに行くんだから」と言って、預金の払い出しに協力してもらい、不動産の名義変更は放置するのも当面の解決策の1つです。

(2) 「他の相続人に対する不平等感」とは、私は他の兄弟より貰っていない、援助してもらっていないというものです。兄ちゃんは大学まで行かせてもらった、妹は家を建てる際に援助してもらったなどと言い出します。これを言い出すと切りがありません。しかしこれを納得してもらうには、今までそれぞれの兄弟のために出費した金額を計算しなければならなくなるでしょう。現実的にとてもできることではありません。
そこで、ある程度まとまった金額(例えば50万円以上)の分だけを計算するように提案してみましょう。そのトータルを現在の相続財産に入れて、遺産総額とし、法定相続分で分配するように提案してみてください。また、不平等感を持っている相続人がどのような分配を希望しているのか、どれだけ貰いたいと思っているのか確認も必要でしょう。もしその相続人が、独り占めをしたいと考えているのなら解決の道程は遠いです。

(3) 「他の(主たる)相続人に対しての恨み」とは、俺は他の兄弟と比べてかわいがってもらわなかった、若かりし頃兄からいじめられた、などです。このような恨みはなかなか解消できません。銭金の問題ではないと言う人もいます。
このような精神的な問題は相続人の当事者では解決するのは難しいです。お金をあまり掛けない解決方法としては、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることです。調停員に中に入ってもらって、双方が納得できるような分割案をまとめてくれるよう頼みましょう。その際は、多少相手方に譲るようにしなければならない場合があります。ただ、相手が調停に出てこなかった場合はどうすることもできません。多少はまともな人であれば、ぐずぐず言いながらでも裁判所に出てくるようです。

(4) 相続人がわがままであったり、自己中心的ならば、まともな協議(話し合い)などできません。その程度にもよりますが、(3)と同じく家庭裁判所に調停の申立をしてみましょう。例え出て来た場合でも、調停が成立することは厳しいでしょう。その際は、家庭裁判書で審判を出してもらうことができます。審判とは、法定相続分に沿った遺産分割案を裁判所の権限で決定するものです。審判が確定するとそれに基づいた遺産分割(移転登記や預金払い出しなど)ができます。ただ、審判を出すかどうかは裁判官や調停員の判断となります。
相手方が出て来ない場合は仕方ありません。強引に解決しようとするのであれば裁判です。

>>相続人が行方不明だ!
>>相続人が認知症(痴呆、ボケ)になっている!
>>知らない相続人が出てきた!
>>預金を独り占めされそうだ!

PAGE-TOP