遺留分

後継者(跡継ぎ)だけに相続させたい!

個人商店や農業などの個人事業者では、後継者(跡継ぎ)がいて、それ以外の子供たちは家を出ていることが多いようです。また、事業を継続するには事業用の不動産(店舗や農地など)を分割して手放すことはできません。また、事業用の不動産には銀行や農協からの借金による抵当権が設定されていることが多いです。このような状況の中で、相続が発生し遺産を子供たちで平等に分配すると事業は成り立たなくなってしまう可能性があります。

そこで、相続が発生する前に個人事業主の人が考えなければならないことは、いかにしてスムーズに後継者に事業資産を承継させるかです。ただ単に、遺言でもって「長男(後継者)に全て相続させる」と書いただけではトラブル防止には不十分です。そこで次のような具体的な対策をお勧めします。

(1) 推定相続人である子供たち全員そろった際に、事業主から事業資産(不動産や事業資金など)などは全て後継ぎに相続させたい旨説明する。他の推定相続人の意見を聞きながら、他の推定相続人には現金による生前贈与をすることを提案する。(または、生命保険金の受取人にしている旨説明する。)生前贈与をする前提条件として、「遺留分の放棄」を家庭裁判所でするよう約束させる。「遺留分の放棄」とは、遺留分の権利は主張しないという手続です。
(2) 公証役場で「後継者にすべて相続させる」旨の公正証書遺言を作成する。遺言の中で、専門家(弁護士や行政書士など)を遺言執行者として指定しておく。
(3) 他の推定相続人が裁判所で「遺留分の放棄」の手続が完了した後、生前贈与としての現金等を渡す。渡す際は受領書と「相続の際は苦情を言わない」旨の念書を取得しておく。
(4) 相続が発生した際は、遺言書の内容に沿って名義を後継者に変更する。事業用借金は、銀行等と相談し後継者だけが借金を引き継ぐことを了解してもらう。銀行等の了解が得られない場合は、他の相続人には「相続放棄」の手続をしてもらう。

以上のような事前対策をしておけば、相続争いになる可能性が低くなります。大切なことは、個人事業主が元気なうちに話をまとめておくことです。弱った後ではなかなか話がまとまりません。子供たちも弱った親の言うことなどきかないものです。

>>長男が遺産を独り占めした!

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